この記事を書いたバリスタ
青森県出身。短期大学卒業後、調理師、パティシエ、バリスタなどを経験をした後、2021年から名古屋に拠点を移し、店舗運営、商品開発、人材育成などに携わる。2023年にIMOM入社。コーヒーセミナー、開業サポートをメインに、店舗運営や商品開発などに携わりながら、自身のスキルアップとして大会にも挑戦している。
【受賞歴】
・Free Pour Latte Art Grand Prix Osaka 2022 Best32
・Latte One Team 2023 優勝
・Latte One Team 2024 3位
その他国内大会入賞歴あり
【取材歴】
Cafe Res [カフェレス] 2024 春/夏 特集 注目!「アイスコーヒー」アレンジレシピ
旭屋出版 進化系『アイスコーヒー』の技術とメニュー
“美味しさ”の理由を知ることで、コーヒーがもっと好きになる
朝の目覚めに、午後のひとときに、誰かとの会話のお供に。
私たちの生活にいつの間にか溶け込んでいるコーヒー。
けれど、そんな日常の一杯が、実はとても特別な旅をしてきたものだと知ったら、ちょっと見方が変わるかもしれません。
今回ご紹介するのは「スペシャルティコーヒー」。
最近ではカフェのメニューや豆売り場でもよく目にするようになりましたが、「スペシャルティってなに?普通のコーヒーと何が違うの?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、スペシャルティコーヒーの定義から、美味しさの秘密、選び方まで、できるだけわかりやすくご紹介します。読み終える頃には、きっとあなたも次の一杯がもっと楽しみになっているはずです。

スペシャルティコーヒーの「定義」
まず、基本の定義からお話ししましょう。
スペシャルティコーヒーとは、「風味に優れ、品質の管理が徹底された、高品質なコーヒー」のこと。
もう少し具体的に言うと、以下の3つの要素を備えている必要があります。
- 生産からカップに注がれるまで、品質のトレーサビリティ(追跡可能性)があること
- カッピング(官能評価)でSCAスコア80点以上を取得していること
- 風味に個性があり、欠点が極めて少ないこと
この基準を最初に提唱したのは、1970年代のアメリカ人、エルナ・クヌッセンという女性。
彼女は、「特別な風味を持つコーヒーは、他と区別されるべき」と語りました。
今では、SCA(スペシャルティ・コーヒー協会)という国際組織が評価基準を定め、世界中のコーヒー関係者がそのルールに基づいて豆を評価しています。

普通のコーヒーと何が違うの?
では、スペシャルティでない、いわゆる「レギュラーコーヒー」や「インスタントコーヒー」との違いは何か?
大きく分けて、以下のような違いがあります。
比較項目 | スペシャルティコーヒー | 一般的なコーヒー |
---|---|---|
品質評価 | カッピングスコア80点以上 | 評価なし/基準に満たない |
生産背景 | 農園単位での管理・取引 | ブレンド・大量生産 |
風味 | 個性豊か、フルーティ、透明感 | 焦げた苦味、重たい後味 |
トレーサビリティ | 生産者・品種・標高・処理方法まで明記 | 情報が不明確 |
流通 | 直接取引やフェアトレード | 複数業者を経由 |
一言でいえば、「どこの誰が、どんな思いで作ったのかが見える」ことがスペシャルティの魅力です。

美味しさの秘密は、実は“旅”の中にある
スペシャルティコーヒーの美味しさには、いくつかの秘密があります。
ただ「高品質だから美味しい」だけではないんです。
1. 高地でじっくり育てられた実
スペシャルティの多くは、標高1000〜2000mの高地で栽培されます。
昼と夜の寒暖差が大きく、コーヒーの実はゆっくり熟していきます。その結果、糖度が増し、香りや酸味が凝縮されるのです。
また、火山性の土壌や安定した気候も、良質なコーヒーの育成に欠かせない要素。自然との共存が美味しさを育んでいます。
2. 豆の「品種」が違う
スペシャルティで使われるのは、アラビカ種の中でも特に風味に優れた品種ばかり。
たとえば、「ゲイシャ」「ブルボン」「SL28」「ティピカ」などはそれぞれ特徴的な香味を持っています。
まるでワインのブドウの品種のように、品種によってまったく味が変わる。それもまた楽しさの一つです。
3. 精製方法で香味に深みが生まれる
収穫された実は「精製」と呼ばれるプロセスを経て、生豆になります。
この精製方法には、「ナチュラル(乾燥式)」「ウォッシュド(水洗式)」「ハニー(中間式)」などがあり、味わいに大きな違いをもたらします。
最近では「アナエロビック(嫌気性発酵)」という発酵技術も注目されており、まるでワインのような複雑な香りを生み出すことも。

飲むときの楽しみ方
スペシャルティコーヒーは、ただ飲むだけでなく、「知る楽しさ」もあります。
たとえば、豆の袋にはこんな情報が載っています。
- 国名(エチオピア、コスタリカなど)
- 農園名(〜ファーム)
- 標高
- 品種
- 精製方法
- 焙煎度
これを見ながら、「なるほど、この酸味はウォッシュド精製だからか」「フローラルな香りはゲイシャらしいね」など、まるでテイスティングノートを読み解くように楽しめます。
また、ドリップやエスプレッソの抽出にもこだわると、同じ豆でも味わいが変化します。粉の粗さ、お湯の温度、注ぎ方——少しの工夫で、まるで違う表情を見せてくれるのです。
私たちIMOMが大切にしていること
IMOMでは、そんなスペシャルティコーヒーの魅力を「一杯の体験」としてお届けしています。
ただ美味しいだけではなく、「飲んだあと、ちょっと元気になれる」「なんかワクワクする」——そんな瞬間を生み出したいと本気で思っています。
私たちのタグラインは、
Changing your atmosphere.
〜あなたの気分を変えよう、あなたの雰囲気を変えよう〜
コーヒーって、ただの飲み物じゃない。
たった一口で、その日の気持ちが変わったり、なんだか勇気が湧いてきたりする。
私たちはそんな「空気を変える力」を、スペシャルティコーヒーに感じているのです。

最後に——一杯のコーヒーの向こう側にあるもの
スペシャルティコーヒーは「贅沢な嗜好品」だと思われがちですが、実はとても「人間らしい」飲み物でもあります。
その一杯の背景には、生産者の努力、農園のストーリー、技術者たちの手間と工夫、そして「美味しさを届けたい」という情熱があります。
値段だけで比べると、確かに少し高く感じるかもしれません。
でも、それは「豆」だけでなく、「時間」と「想い」を買っているから。
ぜひ、カフェや通販などで、自分だけの一杯を見つけてみてください。
きっと、これまでとはちょっと違う“コーヒーの世界”が広がるはずです。
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